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終幕

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日本でiPhone4Sを契約したのを機に、この日記もそろそろ蹴りをつけなければならない。

忘れる前に、学んだ事を書き記しておかなければ。

◆◆◆

留学して、当然のごとく、旅行をしまくった。そこで学んだのは、世界のどこに行ってもそこに住む人々の生活があって、有機的な仕組みができていて、そこでhappyに暮らしている人がいるという事。要するに、世界のどこでも住めるなーという事であった。

日本から出た時は、きっと留学で渡米するのはテンポラリーな物で、いつか日本に帰ると思っていた。例えば、日本の携帯は一番安いプランにして契約を続けるとか、そういう所に当然のごとく日本に戻るものだという意識が表れていた。

元々日本への帰属意識が弱く、嫌いな所が多々あったのも手伝い、今は割とニュートラルな気分でいる。日本のご飯は、フレンチやイタリアン等の洋食も含めて、世界で一番美味い。そんな事を本気で思っていた頃もあったけど、素材も湿気も違うので、あながちそうでもない。

プロセス超重視な事もあって、日本はとにかく高コスト社会だ。留学前は社費だったのだが、生活用品の一覧から、セットアップ術から、何から何まで会社にマニュアルがあって面倒をみようとしてくれる。そういう物を捨てらるとどれだけ楽になることか。炊飯器なんかいらないから、米が食べたくなったらStaubの鍋で炊けば良い。アメリカの包丁が切れにくいからと言って、わざわざ文化包丁なんか持ち歩かなくたって良い。色んな物を切り捨てると、スーツケース2個で世界中のどこへでもすぐに引っ越せる。心理的、物理的に手に入れたフットワークの軽さは重要なアセットだ。今の世の中、インターネットへのアクセスさえあれば、後は行ってしまえば何とかなる。

◆◆◆

インターネットを始めた十何年前に思った事の1つに、「人の感覚は割とユニバーサルなんだな」というのがあった。要するに、バイト代を貯めてギターを買っちゃったから、写真を撮ってネットに乗っけちゃおー!とか思ってると、同じ事をしてる人が既に何百人といる。根源的な欲求で人々が共通して持つ物は多いようだ。

そういう意味で、HBSに来るような偉い人の話を聞いていても、「なるほど、あの感覚か」と感じる事が多々あった。「本当に好きな事をしてると仕事みたいに感じなくなる」みたいな事でも、私は職場では感じた事がないが、学生の頃にしていたスモールビジネスでは毎日が楽しくて仕方なかった、きっとそういう事なんだろうと思う。レベル感が違うのはさておき、同じ感覚を味わった事がある事は、今後の指標になるという意味で重要だし、ある意味幸運な事だと思う。そういう、わずかに感じた小さい感覚をappreciateする事が重要。

◆◆◆

この世では、どんなに狭くてtrivialに見える世界/組織でも、人々の意識の集合体である以上、階層が存在する。そして、それを取り巻く人々のアジェンダが存在する。ニワトリと卵だけど。

社会的なインセンティブが人の言動に与える影響は絶大で、傍から見てると腹立たしい程くだらなく見えたりするけど、自分もその中に入ると自由には振る舞えないので人の事は言えず。

HBSのクラスでの一番のtake awayは、このアジェンダ、インセンティブを理解する事だったように感じる。テクニカルな事は教科書でも読んで覚えれば良いけど、人の気持ちとか、状況の緊迫感とか、現場で遭遇する細かい問題とか、そこらへんの感覚は体験しないと、体験した気分にはなれない。トートロジーだけど。

で、体験した気分になれない内は、平気で「仕事でしょ?お金もらってるプロなんだからやって当然でしょ」とか言っちゃう。現場に入ると、2時間に1回客に怒鳴られ、みんなの士気が落ち、体調を崩して人がバタバタと倒れ、電話が鳴るのをビクビクする事くらい一瞬で分かるのに。

別に、色んな人の気持ちが分かるようになったとは言わないけど、世界中の人々と出会って、毎日話を聞いて、その人たちが取った行動を学んだ事。それに併せ、自分の中に蓄積してきた小さい感覚を何とか紡ぎながら「きっとこんな状況で、こんな気持ちだったんじゃないだろうか」と想像する事は有益だったと思う。HBSがケースオンリーな事、また、意思決定を重要視している事は、ここらへんに寄与している気がする。

◆◆◆

人々のアジェンダを感じ取る事と並んで、重要と感じたのがコンテクスト。

英語力は2年間で少しは回復したものの、単語力とか発音とか、そこらへんの伸びは微々たるものだ。それより何より英語力に寄与したのがコンテクスト。アメリカ人が集まり出すと勝手にフリートークをし始めるとか、そういう些細な事から始まる。

アメリカにいると、道端で知らない人に声をかけても変な顔されないとか、電車の中で席を譲って断られても恥ずかしそうにしなくて良いとか、レストランのウェイトレスとスモールトークを始めても別にナンパじゃないとか、観光地で写真撮りたいから「そこちょっとどいてよ」と言っても嫌な顔されないとか。そういうのは現場にいないと身に付かないし、また、現場を離れると急速に失ってしまう。日本に来た直後の今、一番恐れているのが、このコンテクストを失う事。それから、余計なコンテクストが身に付いてしまう事。

別に、このコンテクスト、英語力に限った話ではない。

いくつかの禁止事項だけ定めてあとは自由にやれという国と、とりあえず全部禁止しておいて、何か新しい事やっていいですか?という時は審査しまくって、例外中の例外まで持ち出して「こんな事態になったら誰がどう対処するんだ!」と怒りだす人がいて、色んな人の意見聞きまくって、やっと千三つくらいで「やっていいですよ」となる国とでは、起業化の数云々以前に、あからさまに人々のマインドと行動が違う。

そういうコンテクストを多少でも感じて、身に付けられたのは、恵まれていると思うし、それを失うのは何よりの恐怖である。

◆◆◆

留学中の自由で、制約のない状態では、それまで出なかった生活スタイルとか優先順位付けとか欲求が出る気がする。

留学中は、終わりが近付くにつれて、加速度的に色んな場所に行った。世界を1周する内に、色んな場所に行って色んな人と出会って、見分を広めていると、自分が欲しい自由がどんな物か分かってくる。

多くの人が言う所の日々の生活に戻り、そこで定義された階層と価値基準の中にいると急速に自分の欲求を忘れがちだけど、人の性格まではそうそう簡単には変わらない事は忘れないようにしたい。

そういう意味で、日本の人口の内の9千万人くらいに「そりゃあまりに自分勝手だろ」と言われても、別に世界の残り数十億人が同じ事を言うとは全く思わない。と同時に、別に他人の価値観に同化しなくても良いけど、自分と違う存在を認める努力すらしないのは幼稚。孔子の頃から言われてるのに、全く実行できてない。それがどれだけバリューを破壊しているか、思い知るべき。

◆◆◆

日本に戻り、やった事は2つ。

ZipcarとiPhoneの解約。バンカメの口座はiTunesに紐づいてるのでキープ。

これをして、本当にアメリカとのコネクションが切れてしまった気がした。情報さえあれば何とでもなるので、iPhoneがあると空港についてすぐに観光地でも調べて、活動開始できる。Zipcarがあれば、大都市ならいつでも車を借りてどこへでも行ける。この2つは留学生活の自由の象徴だったのだ。

2年間は濃かった気がする。質的な変化が大きかった。

期待値は、自分が予測し得る範囲でしか設定しようが無いけど、実際に起きる事は想定外な事ばかりだった。それらのインパクトを受け止め、いちいちあれこれと考え、その結果自分に起きた外的、内的な変化は、これだけ劇的に環境を変化させないと起こり得なかったと思う。

そういう意味で、HBSで、それと留学を通じて出会った人全員、それからAldrichとかSpanglerとかOWAとかローガン空港とかの色んな「場」、数々のイベントとか事件とかディナー会とかパーティーとか、全てに感謝したい。



次回は・・・?
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by chocolamint | 2011-10-22 21:14 | HBS


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